百日咳のワクチンについて
百日咳の経過は3期に分けられ、全経過で約2~3カ月で回復するとされています。
1. カタル期(約2週間持続) :かぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなります。
2. 痙咳期 (カタル期の後に約2~3週間持続):次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となります。夜間の発作が多いですが、年齢が小さいほど症状は多様で、乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ(顔色や唇の色や爪の色が紫色に見えること)、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。合併症としては肺炎や脳症などもあり特に乳児では注意が必要です。
3. 回復期:激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなります。成人の百日咳では咳が長期にわたって持続しますが、典型的な発作性の咳を示すことはなく、やがて回復に向かいます。全経過で約2~3カ月で回復します。
カタル期は通常の風邪とあまり変わらない症状で早期診断が難しい一方で、痙咳期に至るとすでに気道粘膜の障害が完成してしまっており抗菌薬治療を行っても咳がすぐに改善することはなく、回復にかなりの時間を要してしまうため、予防が重要です。
百日咳の予防接種は現在生後2カ月から5種混合を3回、1歳で5種混合追加接種1回の計4回が行われておりますが、最終接種より数年後には弱まり始め、約10年後には完全に効果がなくなると言われており、個人差はありますが、5-6歳ぐらいから再度百日咳に感染しやすくなる可能性が指摘されています。
数年前から成人などにおける百日咳の流行が指摘されておりましたが、小児での報告も増加しており、2025年に入ってから大流行を認めています。現在、神戸市の感染症報告でも5歳~9歳、10代が大多数を占めているように、これらの年齢での百日咳対策が急務となっています。
現在、日本小児科学会は定期の予防接種に加え、5-6歳のMRワクチン・おたふくかぜワクチンの2回目に合わせてと、11-12歳の2種混合ワクチンの代わりの、計2回3種混合ワクチンを追加接種(※自費)することで百日咳を予防することを推奨しています。
当院でも3種混合の任意接種を行っております。ご希望の場合は診療時間内に電話にてお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。