お子様のアレルギーについて
当院では、お子様の気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹(じんましん)、花粉症、アレルギー性鼻炎等を診ています。
アレルギーの症状について
小児アレルギーは、下痢、嘔吐、腹痛、せき、呼吸困難、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹(じんましん)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、発熱、頭痛、むくみ、など様々な症状で表れます。
よく見られるアレルギーには、ハウスダストなどの吸入性アレルゲンによって発症する気管支喘息やアレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎、食べ物がアレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となるもの)となる食物アレルギーなどがあります。一方で、成長とともに症状が改善・軽減していくことも多いのが小児アレルギーの特徴です。
気管支喘息
気管支喘息は気管支の粘膜が慢性炎症(小児はほとんどがアレルギーが原因です)による腫脹で気管支内腔が狭小化しているところに、風邪やアレルゲンへの暴露、ストレスなどをきっかけに粘膜の腫脹が一気に増悪し気道が閉塞しそうになることで発症します。つまり、急性期治療によって発作が落ち着いても実は喘息症状の根本的な原因である気管支粘膜の慢性炎症は残っています。これをしっかり治さず治療を途中で終了することで繰り返し再発するとされています。
喘息の治療はアレルゲンを取り除く環境整備、発作に負けない体力作り、発作予防・発作時の薬剤投与の三本柱が重要となります。薬剤投与では特に発作予防薬を自己休薬せず、発作や夜間・明け方の咳、運動時の咳などがない健康な状態をキープする事が非常に重要です。
当院では日本小児アレルギー学会の発行している小児気管支喘息治療・管理ガイドラインに沿った治療・管理を行いつつ、必要に応じて個々の患者様に適した治療を選択しています。喘息でお困りの方、お聞きになられたい事がおありの方はお気軽にご相談ください。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎はアレルゲンの暴露により体内の免疫システムが刺激され、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどの症状を来します。ハウスダストなどの一年中起こりうる通年性アレルギー性鼻炎と花粉が原因で特定の季節にのみ起こる季節性アレルギー性鼻炎に分けられます。
治療は抗アレルギー剤の内服、ステロイド点鼻といった対症療法が中心となりますが、アレルギー性鼻炎の根治が期待できる唯一の治療としてアレルゲン免疫療法があります。これはアレルゲンを少しずつ体内に入れ、反応を弱めていくことにより症状を抑えるもので、注射で行う皮下免疫療法(SCIT)と薬を舌の下に入れる舌下免疫療法(SLIT)があります。
SLITは投与初期に口の痒みや違和感、腫れぼったさなどを認めることはあるものの怖い全身性の副反応の頻度は少なく、当院でも施行可能です。具体的には少量から服用をはじめ、その後落ち着いていれば1週間後に通常量に増量し、数年間にわたり継続して服用します。初回は院内で服用していただき、その後はご家庭で毎日続けていただきます。SLITに関する詳しい説明を希望される場合はお気軽にお問い合わせください。
食物アレルギー
小児食物アレルギーで特に赤ちゃん・乳幼児が、アレルギーを起こしやすいのは、卵、牛乳、大豆です。その他にも、カニ、えび、米、そば、ピーナッツ、キーウィ、メロン、マンゴー、ニンニク、セロリなどアレルギーを起こしやすい食べ物はたくさんあります。
また、こどもは気管支や腸管の粘膜などが未熟なため、アレルギー反応を起こしやすい傾向にあります。アレルギーの原因が食べ物以外の環境にあることも考えられます。
アレルギーの原因を特定し、完全に日常生活から除去するのは難しいことです。お子様が何かを口にした際にアレルギー症状が出たため、疑わしい食べ物を片っ端から除去するという厳しい食事療法を行う方もいらっしゃいますが、行き過ぎた食事療法は好ましくありません。食べると症状が誘発される食物だけを除去する、症状の誘発が確認されている食物でも症状が誘発されない範囲までは除去せずに摂取する、「必要最小限の除去」が大切です。
また新生児・乳児の場合、食物蛋白誘発胃腸炎(Food protein induced entrocolitis:FPIES)などの新生児・乳児消化管アレルギーと呼ばれる病態を認める場合があります。FPIESは卵黄、牛乳、小麦、大豆などを摂取後1〜4時間ほどしてから嘔吐を認めるのが特徴で、重症の場合は繰り返し嘔吐を認め脱水やショックになる場合もあります。原因食材摂取後ある程度時間が経ってから症状が出ること、血液検査では異常を認めないことが多いこと、嘔吐という症状は胃腸炎など他の病気でもよく認めることから見逃されていることも少なくありません。
また、花粉症の方がリンゴ・キウイ・桃などのフルーツ、セロリ・トマトなどの野菜、アーモンド・ピーナッツなどのナッツ類を食べた時に口の中や唇の違和感・痺れ、顔面の腫脹、蕁麻疹、腹痛、呼吸困難感などが出現する口腔アレルギー症候群(OAS)と呼ばれる病態もあります。こちらは花粉症を起こすアレルゲンとこれらの植物由来の植物に含まれるタンパク質の構造が一部共通しているために、口の中でアレルギー反応が起きてしまうことで発症します。摂取した食材に関する血液検査では異常が出ないため、その可能性をまず疑うことが診断のために重要です。
様子がおかしいなど、気になることがございましたら、ご相談ください。まず、受診していただき、必要があれば検査をおこなったり、迅速に専門医のいる適切な病院にご紹介いたします。