日本脳炎ワクチンの早期接種について
日本脳炎ウイルスはブタの中で増殖し、ブタの血を吸って感染した蚊にヒトが刺されることによって感染します。
日本脳炎の感染を防ぐために現在定期接種として日本脳炎ワクチンの接種が行われており、その標準プロトコールは初回が3歳以降とされています。
一方で、日本脳炎流行地域に渡航・滞在する小児、最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、3歳以前の早期からの日本脳炎ワクチンの接種開始が推奨されており、生後6か月以降から可能です。
現在ブタの感染状況を把握するために、ブタの日本脳炎に対する抗体の保有率が定期的に調査されています。ブタの感染状況高い地域でも患者発生数は低く、環境中のウイルス活動状況と必ずしも一致していませんが、ブタの抗体保有状況はウイルス陽性蚊の存在している地域を間接的に示唆するデータと考えられており、少なくともこのような地域ではヒトへの感染リスクの存在する地域と考えられています。
近年兵庫県でのブタの日本脳炎抗体価保有率はかなり低い状況が続いていたのですが、昨年秋に兵庫県においても高率に日本脳炎抗体を保有するようになり、兵庫県は現在日本脳炎感染のハイリスクエリアと考えられます。
以前も兵庫県で高い数値を取っていた時期があり、長期間にわたって高止まりが続いたことから、標準プロトコールより早い時期での日本脳炎予防接種の開始が望ましいと考えられます。
以上を踏まえて2025年2月から当院では下記の通りに日本脳炎の接種時期を変更いたします。
<標準プロトコール>
1回目:B型肝炎ワクチン3回目と同日(生後6-7か月ごろ)
2回目:1回目の1~4週間後
3回目:四種混合追加接種・水痘2回目と同日(1歳半ごろ)
4回目:9歳頃
※あくまで目安であり、変更・調整は可能です。
ご不明な点などございましたら診療時間内に電話でお問い合わせください。
※図は国立感染症研究所HP「ブタの日本脳炎抗体保有状況-2024年度速報第11報」より抜粋